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致死率の高い感染症・伝染病で、一番最初に思い浮かぶのはAIDSという人が多いと思います。
AIDS(後天性免疫不全症候群)は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染することで引き起こされる病気です。血液や体液を介して感染するため、性感染症の一つで、感染症法の5類感染症に分類されています。
感染から発病までは5〜10年かかりますが、発病すると倦怠感や体重減少、咳や下痢などの初期症状が現れ、免疫力の低下による日和見感染や悪性腫瘍、サイトメガロウイルスによる身体の異常、HIV脳症などを生じて死に至ります。
1981年に初めてAIDS患者が発見された当初は、治療手段がなく、致死率は100%でしたが、現在は治療法の開発が進み、AIDS発症前の感染超初期から治療を開始すれば、生涯AIDSを発症しない段階まで来ています。
ただ、根治は不可能ですし、治療の開始が遅れ、一度AIDSを発症してしまうと、2年以内に80%が死亡すると言われています。
クロイツフェルト・ヤコブ病は、異常プリオンという蛋白質性感染粒子が脳内に侵入し、脳を海綿体状に変化させて、脳機能障害を引き起こす病気で、感染症法で5類感染症に分類されています。
クロイツフェルト・ヤコブ病は、感染しなくても100万人に1人の割合で発症する病気ですが、その患者の異常プリオンに汚染された医療器具や患者由来の人工硬膜の移植などを介して感染することがわかっています。
感染すると、2年から30年の潜伏期間を経た後、全身の不随意運動や認知症のような症状が現れ、1〜2年で死に至ります。現時点では有効な治療法はなく、致死率は100%です。
エボラ出血熱は、1976年にアフリカのスーダンで初めて発見された病気で、エボラウイルスが病原体です。
エボラウイルスは、患者の体液や血液、排泄物などを介して感染しますが、非常に感染力が強いという特徴があります。たった数個のエボラウイルスが体内に侵入しただけでも、発症するほどの感染力を持っています。
約1週間の潜伏期間を経た後、発熱や悪寒、筋肉痛、頭痛、下痢などの症状が出て、進行すると消化管や皮膚、粘膜など全身から出血し、下血・吐血の症状も加わり死亡します。
エボラ出血熱の治療法は確立されておらず、対症療法しかありません。致死率は、ザイール株の場合88%、スーダン株の場合53%となっていて、感染症法では1類感染症に分類されています。
原発性アメーバ性髄膜脳炎は、フォーラーネグレリアという原虫(アメーバの一種)が病原体の感染症です。
フォーラーネグレリアは、河川や湖、温泉などの淡水に生息していて、淡水を浴びた際に感染しますが、感染力はあまり強くありません。鼻粘膜や鼻孔組織から侵入して、嗅神経を通って脳に到達し、組織融解酵素を出して脳を溶かし、それを栄養にして増殖します。
2〜3日の潜伏期間の後、発熱や悪寒、頭痛などが現れ、急速に意識混濁に陥り、10日ほどで死に至ります。世界中でたびたび小流行が起こっていますが、生存した例はわずかに8例のみで、致死率は95%にも上ります。
致死率の高い感染症の中には、ここ数年で新たに発見されたものもあります。その代表的なものがMERS(中東呼吸器症候群)です。MERSとは2012年に中東で発見された新種のコロナウイルスが病原体の感染症で、肺炎などの呼吸器症状のほかに下痢や腎障害などを引き起こします。
現時点では有効なワクチンや治療法は確立されておらず、2014年1月時点で感染者は178人、死亡者は75人に達し、致死率は42%となっています。
また、2013年1月に初めて日本で感染が確認されたマダニが媒介して発症する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、発熱や消化器症状を引き起こし、出血傾向から多臓器不全を起こして死亡します。
この重症熱性血小板減少症候群は、中国では致死率6%程度とされていますが、日本では52人の感染者のうち21人が死亡しており、致死率は40%となっています。
このほかにも2003〜2004年にかけて東南アジアを中心に流行したH5N1型の鳥インフルエンザは致死率59%、2013年から中国で流行しているH7N9型は致死率25%です。
今後は、さらに致死率の高い新たな感染症が発見され、それが世界的な大流行を起こす可能性も十分に考えられます。
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