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インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルス感染による重症合併症の1つで、脳内にウイルスは侵入していないが、脳が腫れて、脳内の圧力が高まることにより脳全体の機能が低下し、意識障害やけいれんを起こす病気です。
子供(特に乳幼児)に発病することが多く、急な高熱からの意識障害や突然の全身けいれんを起こし、進行が速いのが特徴です。死亡率は約30%と高く、助かっても約25%は脳性まひなどの後遺症が残るといわれています。毎年発病する患者は数百人にものぼり、発病のメカニズムがいまだ解明されていないことや死亡率が高いことなどから、社会的にも大変大きな関心を集めている病気です。
インフルエンザ脳症の特徴は下記のようになります。
●インフルエンザが流行すればするほど発症が多発する。特にA香港
型の流行時に発症する人が増える傾向がある。
●主に6歳以下の小さな子供が発症し、インフルエンザの発熱から、数
時間〜1日と神経症状がでるまでの期間が短い。
●1年に100〜300人のこどもがインフルエンザ脳症にかかる。
●1歳をピークとして、幼児期に最も多く発生しています。
●主にけいれん・意味不明な言動・急速に進行する意識障害が症状
の中心である。
●死亡率は約30%であり、後遺症も25%の子供にみられるなど、重い
疾患である。
●我が国で多発し、欧米での報告は非常に少ない。
●男女間の差はない。
インフルエンザ脳症でよくみられる症状は、「けいれん」「意識障害」「異常行動」です。
-けいれん-
けいれんは筋肉のこわばりやガクガクとした動きで、1分程度の短いものから20分以上も続く長いものまで様々です。回数は1回だけのことも、何回も繰り返すこともあります。
-意識障害-
意識障害というのは、簡単にいうと眠ったようになってしまい、呼びかけや痛みで刺激しても目が覚めないような状態をいいます。軽い意識障害の場合には、何となくボーッとしているとか、すぐにウトウトするというような状態のこともあります。
-異常行動-
異常行動は、普段とは全然違うおかしな言動で、様々なものがあります。よくあるのが、ゾウやライオンなどの動物やポケモンなどのアニメのキャラクターがやって来るなどの幻視・幻覚を中心とした意味不明の言動です。お母さんがそばにいるのにお母さんを探し回るとか、まったく意味不明の言葉をしゃべったりとか、理由もなくひどくおびえたりといった言動もときどきみられます。激しい場合には、自分の手を食べ物とかんちがいしてかじったりすることもあります。
インフルエンザ脳症では、このような症状が熱が上がってからすぐに出現することが多いようです。よって、発熱に続いてけいれん・意識障害・異常行動が起きたときには、脳症のはじまりの可能性もありますので、すぐに病院を受診してください。
インフルエンザ脳症では異常行動がみられることがあると述べましたが、子供は脳症でなくても高熱そのもののために異常行動を起こすことも珍しくありません。この状態を「熱せんもう」といいます。
インフルエンザで熱が高いときに異常な言動があっても、全てが脳症とは限りません。インフルエンザ脳症による異常行動と熱せんもうとの違いはまだ十分わかっていませんが、異常行動が長く続くときや、けいれんを伴った場合は要注意と思われます。病院に相談し、担当医の指示に従って下さい。
インフルエンザ脳症は、命に関わる病気にも関わらず、いまだ有効な治療法がないのが現状です。血管から輸液(水分・塩分・ブドウ糖などの補給など)を行う対症療法が一般的な治療となります。輸液の内容は患者さんの状態、検査の結果により調整されます。血液の成分にアンバランスがあるときは、それを正常化するための薬剤を体内に入れます。たとえば血液が酸性になっているときはアルカリ剤を、ブドウ糖が減っているときはブドウ糖を注射します。DICの時は、異常な凝固を抑さえる薬剤を用いたり、減ってしまった赤血球や血小板を輸血により補ったりします。
また脳の圧が高いときは、圧を下げるための減圧剤を使用します。けいれんが起きているときはそれを止める抗けいれん剤を使用します。患者さんの状態によっては、気管にチューブを入れて空気の通り道を確保し、人工呼吸器を使って呼吸を助けるようにします。
(厚生労働省インフルエンザ脳炎・脳症研究班調査より)
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