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ピロリ菌、正式名称はヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)といいます。大きさは2〜3×0.45μmほどで、人間の胃の中に住んでいる細菌です。 |
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この菌は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因になっているということが、近年明らかになってきています。
胃の中には胃酸があり、pH1〜2と非常に酸性が強いため、通常の細菌は生息できません。
しかしピロリ菌はウレアーゼという酵素を多量に持っており、この酵素を使って胃の中にある尿素をアンモニアに変化させます。アンモニアはアルカリ性なので胃酸を中和しピロリ菌の周囲のpHを変化させて、生存できる環境を作っているのです。
ピロリ菌の感染経路は未だはっきりとはわかっていませんが、口を介した感染(経口感染)が大部分であろうと考えられています。
大部分の人は幼少期において、保菌している親との濃密な接触(離乳食の口移しなど)、あるいは糞便に汚染された水、飲料水や食品を介した感染により、胃の中にピロリ菌を持っていると言われています。
しかし、ピロリ菌を持っているからといって、すべての人が胃潰瘍や十二指腸潰瘍になるわけではありません。日本では40歳以上で感染率が高く、8割前後の人が感染していると言われていますが、その中で胃潰瘍を発症するのは約2〜3%くらいであり、感染から胃潰瘍を発症するまでに長いと数十年かかると言われます。
ピロリ菌に感染すると炎症症状を起こしますが、ほとんどの人には自覚症状はありません。
ピロリ菌は胃潰瘍、十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃悪性リンパ腫の原因のひとつと考えられており、最近では、胃癌の発生にも関与しているという報告もあります。
検査は、内視鏡検査が必要な検査と内視鏡検査が必要でない検査との2つに分けられます。
除菌治療を行う場合には、除菌の前(ピロリ菌がいることの確定診断のため)と、潰瘍治療の後1ヶ月以上あけた後(除菌ができたかどうかの確認のため)に検査をします。
また、行われる検査は施設によって違いますのであらかじめ確認しましょう。
・・・・・内視鏡を使って行う方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・
胃粘膜を採取し試験薬に入れて薬の色の変化で判定します。速く判定できますが的確に組織をとらないと偽陰性となることがあります。
出されます。検査が簡単で精度が高く、優れた方法です。
粘膜を採取し染色標本を作製し顕微鏡で菌の有無を判定します。偽陰性となる可能性がありますが、胃の粘膜の状態(萎縮の程度や腸上皮化生の有無など)が分かります。
・・・・・内視鏡を使わずに行う方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・
検査用のお薬を飲み、吐き出された息を調べる検査法です。菌のもつ酵素により尿素が分解され、二酸化炭素が呼気として排出されます。検査が簡単で精度が高く、優れた方法です。
血液や尿検査で菌に対する抗体を調べます。過去に感染したことがあるかどうかが分かります。除菌後陰性化するまで1年以上かかることがあり、除菌の成否を早く知りたい時には適した検査法ではありません。
便中に排泄されるピロリ菌の抗原を直接検出する侵襲のない検査法で、現在の感染の有無が判定でき除菌前の感染診断に優れた方法です。
ピロリ菌の治療は一般的に除菌治療になります。除菌とは、その名の通りからだの中からピロリ菌を除去することです。
除菌には「クラリスロマイシン」と「アモキシシリン」の2種類の抗生物質と胃酸の分泌を強く抑制する作用があり、胃潰瘍の治療に用いられる「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」の計3種類の薬剤を使用します。PPIは胃酸の分泌を抑制し、抗菌薬の効きをよくする他、ウレアーゼ活性を抑制する作用もあります。
正しく服用すれば、ピロリ菌の除菌は約90%の確立で成功します。
除菌により潰瘍の再発はほぼ抑えられるようになり、2000年11月よりようやく胃・十二指腸潰瘍に限りピロリ菌の除菌が保険適応となりました。
ただし、除菌の治療は正しく服用しなかったり、中途半端でやめたりすると、ピロリ菌が薬に対して耐性をもち、次に除菌しようと思っても薬が効かなくなるおそれがありますので、必ず医師の指示通りに薬を飲むことが必要です。
また、貧血、下痢、味覚障害、口内炎、肝機能障害等の副作用を起こすことがありますが、症状が軽いようであれば、治療は継続して問題ありません。症状が強い場合はお薬を中止し、主治医に相談するようにして下さい。
最近テレビで取り上げられているピロリ菌を減らす働きがあるヨーグルト「LG21乳酸菌」をご存知ですか?
LG21乳酸菌とは、明治乳業と東海大学医学部の研究チームが発見した、新しい作用を持つ乳酸菌です。このLG21乳酸菌は、もともと人間の体内に存在していますが、食べることで生きたまま胃の中へ届き、胃粘膜に粘着し、乳酸を分泌して、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃ガンの原因であるピロリ菌を抑制する作用があるそうです。
しかし、この抑制効果は人により違いがあるため、あくまで補助療法として行ってください。これによりピロリ菌を完全に除去することは難しいでしょう。ピロリ菌を完全に除菌したいのであれば、医療機関で除菌療法を行うほうがよいでしょう。
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