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ホーム>これ、気になる!>花粉症の原因あれこれ
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春が近づくと、黄色い花粉をたっぷりたくわえたスギの映像を使ったCMが、これでもかと流されます。
しかし、花粉症の原因植物はスギだけではなく、中にはタンポポやハルジョオンのような草花など、花粉症のイメージとはかなりかけ離れた植物の花粉による発症も、多数報告されています。
ピーマン、トマト、ブドウ、ミカン、リンゴ、ナシ、イチゴなどの果物や野菜、ユリ、バラ、コスモス、ナデシコなどの花を扱う農家では、これらの花粉による発症が多く見られます。
戦後、日本では木材の需要が急増しました。
そこで、天然林を伐採して、早生樹種であるスギなどを大量に植えるという政策がとられました。
しかし、1960年代に入り木材の輸入が自由化され、国内の木材の価格は下落し続けました。
本来、スギの木はまっすぐに育てるために最初はギュウギュウに密集させて植え、育ってきたら間隔をあけるために間伐(間引き)をするものですが、木材の価格の急落で大打撃を受けた日本の多くの林業家は、間伐をはじめとする手入れを行わず、伐採そのものも減り、造林したスギ林を放置しました。
それが現在に至ります。
時期を同じくして日本の都市化が進み、アスファルトやコンクリートの土地が増えたため、地面に落ちた花粉が土に返らず風に乗って再び空中を舞うようになったことも、スギ花粉症急増の大きな原因と考えられています。
春前から梅雨入りの頃まで、随分と長い期間スギ花粉に苦しめられていると思い込んでいる患者さんは多いのではないでしょうか。
しかし、スギ花粉の飛散は2月から4月頃までなのです。
実は、スギ花粉症の方は約7割が「ヒノキ」の花粉症を併発しているといわれ、そのためヒノキ花粉の飛散が終わる入梅の頃まで、連続してアレルギー症状を起こしていると思われます。
さらに秋口になって、なんだか鼻がむずがゆい、花粉の季節でもないのに…。という経験はありませんか。
症状が軽ければ、やり過ごしてしまうこともありますが、秋も立派な『花粉症の季節』なのです。
スギやヒノキのような背の高い植物に代わって、夏はイネ科のカモガヤ、秋にはキク科のブタクサやヨモギなどの花粉が飛散します。
特にブタクサやヨモギはどこにでも生え繁殖力がとても強い植物で、花粉が広範囲に存在するので、注意が必要です。
現在、花粉症の改善策として主に行われているのは、目・鼻などの症状を和らげる「対症療法」と、アレルギー反応を起こしにくくする身体を作るための「体質改善」、そしてアレルゲンと接しない、または自律神経を正常に保つための「生活習慣の見直し」が挙げられます。
しかし、これらの方法では根治は困難で、実際に花粉症を根治させたという患者さんはごく少数です。
現時点の医療では、花粉症を根治させる方法はまだ確立されておらず、いわば可能性に賭けている状態です。
何をもって「根治」と呼ぶのか、他の病気と比べても定義が難しいところです。
というのも、花粉症をはじめとするアレルギー性疾患は、治療を続けている間は症状が出なくなっていても、治療を中止して時間が経過すると再発するということが非常に多いからなのです。
また、複数の花粉に対するアレルギーであったり、その他にハウスダストや食品アレルギーなどを併発しているケースが多いのも問題です。
仮に一つの抗原に対するアレルギーが解消されたとしても、他の抗原に接触して症状が出続けていれば、根治したとは言い難いのではないでしょうか。
花粉症の症状が、治療を中止しても数年にわたって再発しない根治状態への道のりは、まだ少々遠いようです。
それでは、花粉症の根治療法はないのかというと、現時点では唯一、『減感作療法』による根治が期待できます。
体内にアレルゲンを少しずつ入れて抵抗力をつけ、過敏に反応しないようにしていくものです。
予防接種と同じようなイメージですが、最初はごく微量から始め、徐々に増やしていく必要があるので、週に1〜2回の通院を2年以上は続けなくてはならず、また痛みの強い注射を使うので、根気と我慢が強いられていました。
最近注目されている『舌下減感作療法』は、これらの問題点をクリアにした期待の根治治療です。
舌下にパンの小片を置いて花粉のエキスを浸み込ませ、2分後にパンごと飲み込んでしまうという方法で、痛みもなく、患者の負担が大いに軽減され、しかも自宅で行うことができます。
しかし、まだこの治療を行っている医療機関は少なく、試験的な側面があることは否めません。
これまでの注射による減感作療法でも、稀に強い副作用やアナフィラキシーショックを起こした例があり、細心の注意が必要となります。
鼻がムズムズする、くしゃみや鼻水が止まらない…。
人口の3割が発症しているという花粉症ですから、こんな症状が出たら自分もいよいよ、と思ってしまいますよね。
しかし、花粉症とまぎらわしい症状の病気は数多くあります。
病気を正しく知るために、きちんと受診し、必要であれば検査を受け、適切な治療を心がけてください。
●風邪
花粉症のシーズンと流行が重なることもあり、主に鼻の症状を花粉症と自己判断してしまいがちです。
風邪の鼻症状も、花粉症に使う抗ヒスタミン薬で治まることはありますが、その他の症状には効果がありません。
●花粉症以外のアレルギー性鼻炎
ハウスダストやダニなどによるアレルギー性鼻炎は、花粉症の鼻症状と酷似しています。
花粉症よりは軽微ですがかゆみも伴います。
異なる点は、花粉症はシーズン性であるのに対し、通年性であるという点です。
●血管運動性鼻炎
こちらも花粉症の鼻症状と酷似していますが、アレルギー症状ではなく、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて非常に過敏になり、少しの刺激にも反応して鼻炎症状が出てしまうものです。
薬で対応するよりも、規則正しい生活を送り、ストレスを避け、室内環境管理(温度や湿度、空気清浄など)をすることが必要となります。
●結膜炎
目が充血してかゆみを生じる結膜炎は、原因が多岐にわたります。
アレルギー性結膜炎は、花粉症の症状の一つでもありますし、ハウスダストやダニ、ペットの毛などでも起こります。
アレルギー性結膜炎の中に「春季カタル」というものがあり、これは小中学生に多く見られる重症の結膜炎です。
春から夏にかけての発症例が多いことや、アトピー性皮膚炎患者などアレルギー体質の人がかかりやすく、目のかゆみや充血が見られることから、単なる花粉症の目症状と考えてしまいがちですが、次第に症状が強くなり、上まぶたの裏側に粒状の大きな腫れができたり、角膜が濁ったり、痛みで目が開けられなくなったりします。
重症化すると角膜に傷が付いて視力低下を起こすこともあります。
プールなどで感染するウィルス性の結膜炎は、目やにや痛み、腫れなどの症状が強く出ますが、強烈なかゆみを伴うこともあります。
感染力が強く、使用する点眼薬もアレルギー性結膜炎とは全く異なります。
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