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花粉症とは、植物の花粉に含まれる物質をアレルゲン(抗原)として発症するアレルギー性疾患の総称です。
生物の体内に異物が侵入した時、体内ではそれを排除するための物質(抗体)が作られます。
予防接種で少量のウィルスを体内に注入するのはこのためで、同じ異物が再び進入しようとすると、この抗体が反応し身体を守るために働きます。
この反応を「免疫」といいますが、同じメカニズムで抗体を作り、身体に害のある反応を引き起こすのが「アレルギー」です。
花粉という異物を外敵とみなして攻撃し、かゆみや刺激のもとになる物質を放出してしまうのが、花粉アレルギー=花粉症なのです。
国民の10人に1人が花粉症、と聞いて驚いたのも今は昔、現在では既に3割近くの人が花粉症の症状を有すると言われています。
『国民病』と呼ばれるのも納得ですね。
日本では、1960年代に初めて花粉症として確認され、1980年代前半に爆発的に増加しました。
春先に発症する「スギ」花粉によるものが8割を占めますが、日本で最初に報告されたのは「ブタクサ」による花粉症でした。
現在では、原因花粉は「イネ」「カモガヤ」「ヨモギ」をはじめとして、意外なところでは「サクラ」や「ウメ」、「ユリ」など60種を超えており、季節を問わず年間を通して花粉症を発症し得る環境にあるといえます。
花粉症で最も顕著に見られるのは、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみの4大症状です。どれか1つが強く出ることもありますし、複合的な症状になることも少なくありません。
この他に、口が渇く、咳、喉のかゆみ・痛み、頭痛、発疹などの症状や、発熱、倦怠感といった全身症状を引き起こす場合もあります。
初期症状は風邪と間違えることもありますが、風邪では目の症状がほとんどないことと、花粉症の鼻症状は重く長引くことで違いがわかります。
くしゃみは数回では治まらず、時には一日中繰り返したり、水のような鼻水がとめどなく流れ続けたり、両方の鼻の穴ががっちりと詰まってしまったりと、症状が著しいのが花粉症の特徴です。
そのため、心身疲労や睡眠不足といった二次的な症状が、多くの患者を苦しめています。
花粉は空中を飛散し、人間の目・鼻・口から体内に侵入します。これは、花粉の多い年も少ない年も、毎年毎年繰り返されます。
そして、花粉から粘膜に溶け出す「異種タンパク質(=人間にとって異種なタンパク質)」を体内で異物と認識して、抗体が作られます。
抗体には何種類かありますが、その中の「IgE抗体」がアレルギー反応を引き起こす抗体で、これが花粉症の原因でもあります。
抗体というものは、一度作られればもう必要ないはずなのですが、このIgE抗体に関しては、生成を抑える遺伝子を持たない人がいます。
この遺伝子がないと、花粉が侵入するたびに、どんどんIgE抗体を作り出してしまうのです。
アレルギー反応は、この抗体が「ある一定量」を超えた後、再び抗原である花粉と触れた時に起こります。この限界量は人によってまちまちです。
更に、蓄積によるものなのでいつ限界を超えるかもわかりません。大人になったからもう大丈夫、とは限らないのです。
IgE抗体が増え続け限界量を超えた時に、体内では何が起きるのでしょうか。
この抗体は、肥満細胞(細胞の名称であり、実際の身体の肥満とは何の関係もありません)と呼ばれる細胞と結びつきやすい性質を持っています。
肥満細胞は、特に気道や鼻の粘膜に多く存在し、自身の中に化学伝達物質を持っています。
この細胞と結合したIgE抗体がある一定の限界量を超えたところに、更に花粉が侵入してきた時、新たな抗原抗体反応を起こし、肥満細胞内に存在する化学伝達物質である「ヒスタミン」「ロイコトリエン」などが放出されます。
ヒスタミンは知覚神経を刺激して、かゆみを引き起こす物質です。
また、三叉神経末端を刺激して、くしゃみや大量の鼻水の分泌の原因となります。
ロイコトリエンは血管を拡張させる作用を持ち、それが粘膜の腫れにつながります。鼻づまりや目の充血などの症状は、この物質の影響で現れているのです。
花粉症の発症に一番大きく関わるのは、アレルギー反応を起こすIgE抗体の生成を抑える遺伝子がない、ということです。
「このタイプの人=アレルギー体質の人」と言って差し支えないでしょう。
花粉の量が少なくても、マスクなどで防御していても、少量の花粉が体内に侵入すれば、その都度IgE抗体が生成され蓄積されていきます。
遺伝子による体質ですから、やはり近しい家族や親類にアレルギー体質の人が多ければ、自身もそうである可能性は高まります。
心身の疲れは、自律神経の乱れに直結します。
花粉症のようなアレルギー性の疾患は、自律神経にも左右されることがわかっています。
自律神経とは、交感神経と副交感神経に分けられ、このバランスが崩れたり、血液の流れや粘膜からの分泌に関わる副交感神経に異常をきたすと、アレルギー反応が起こりやすくなるのです。
体中の粘膜には、「Th2」という免疫細胞があり、この細胞が「異種タンパク質」を異物として感知し侵入を防ごうとすることでも、IgE抗体は生成されます。
つまり、Th2が異物を感知すればするほど、IgE抗体が増えるということです。
異種タンパク質とは、人間にとって異種なタンパク質のことで、花粉のタンパク質もその一つです。
食品では主に肉類・卵・魚卵類などに多く含まれます。
食べたものによる異種タンパク質は、腸の粘膜に侵入して感知されるのですが、どこで感知されてもTh2は全身で活性化します。
目・鼻・喉の粘膜のTh2も一斉に活性化され、花粉から溶け出す異種タンパク質にも反応して、IgE抗体をせっせと作り出してしまうのです。
現代の、欧米化されファストフードが重用される食生活においては、Th2が活発に働きアレルギー疾患が起こりやすい環境ができ上がっていると言えます。
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