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セレウス菌とは土壌細菌の一種で、土壌、水、ホコリなどに生息し、私たちの日常生活の中でも身近な菌の一つであり、特に農作物を中心とした食物などに高い濃度で確認することができる細菌です。
セレウス菌が食品中で増殖すると、エンテロトキシンを始めとしていくつかの異なる毒素を生成します。したがってセレウス菌感染症では、食中毒などの消化器症状が主な症状となり、下痢や嘔吐が高頻度で出現します。
日本でのセレウス菌感染症では嘔吐型が最も多く、米飯やチャーハンなど米を調理したもの、パンやパスタなどの小麦を加工調理したものでも発症例が確認されています。米飯やパンでも感染症が見られるように、セレウス菌の特徴として熱に強い細菌であるというのが挙げられます。
この菌の増殖に最適な温度は28〜35℃とされていますが100℃の熱湯の中でも30分程度は生存しているため、食品の加熱時間には30分以上が必要とされています。
セレウス菌は主に「嘔吐型」、「下痢型」と発症するタイプによって分類することができ、このタイプによっても潜伏期間が異なります。
嘔吐型の場合、潜伏期は1〜5時間で、腹痛を伴う強い吐き気から嘔吐を繰り返すようになります(黄色ブドウ球菌食中毒とよく似た症状が出てきます)。短時間の潜伏期間で発症するため早期の治療が重要となります。
一方で下痢型の場合は、8〜16時間の潜伏期間を経て腹痛を伴う下痢が起こります(こちらはウェルシュ菌食中毒とよく似た症状が出現します)。
また嘔吐型と下痢型では熱耐性も異なり、嘔吐型のセレウス菌の中には126℃の熱で90分加熱しても毒素が消えないものもあるのに対し、下痢型の方は56℃の熱で5分間加熱すると毒素の効果が無くなるということが分かっています。
したがってセレウス菌感染症で最も注意が必要なのは嘔吐型で、日本では嘔吐型の症例が多く発見されています。
セレウス菌の主な感染経路は食品です。特に主食となる米や小麦製品からの感染が主流で米飯、パン、パスタ、チャーハン、ラーメンなど私たち日本人にとっては馴染みの深い食材からの感染例が多く報告されています。
セレウス菌感染症の多くは加熱された調理済みの食品から感染することが判明していますので、加熱調理したからといって油断は禁物です。
セレウス菌の感染を予防するには、「作りおきをしない」「加熱調理後はできるだけ早く食べ切る」「残った食品は廃棄する」「調理前の野菜はよく流水で洗う」などの処理を徹底することが重要です。特に泥付き、または土の付いている野菜は注意が必要です。
保存する場合には清潔な保存容器に小分けにし、急速冷凍の状態で保存することが望ましいとされています。さらに食器や調理器具は定期的に消毒するようにしましょう。
セレウス菌による食中毒には大きく分けると「嘔吐型」と「下痢型」に分類され、日本で確認されているセレウス菌が原因である食中毒の殆どは嘔吐型であるということが分かっています。
嘔吐型の多くは主に穀物類(米や小麦など)を原料とする食品から感染することも判明していて、また熱にも強いということが分かっていますので、加熱した米飯やチャーハン、ラーメン、パスタ、パンなどからの感染に注意が必要です。
嘔吐型の症状は腹痛を伴う強い吐き気と嘔吐を繰り返すことで、場合によっては死亡するケースもある毒性の強い細菌です。一方で下痢型の方は熱に対する耐性が弱いため、こちらは60℃以上で5分以上の加熱調理を行えば殆どのケースが予防可能です。
ちなみに下痢型の症状は腹痛を伴う激しい下痢を引き起こすので、脱水症状に注意を払わないと死亡するケースもあり、こちらも感染後の毒性は強いといえるでしょう。
セレウス菌は日本中の土壌中に広く分布している細菌です。セレウス菌食中毒の発症例が老人ホームなどの高齢者向け福祉施設や医療機関に集中していることからも、セレウス菌に感染して強い毒性を引き起こすのは抵抗力の弱い高齢者や病気療養中の患者であることが予想されます。
したがって、手術直後の患者や入院している後期高齢者等は院内感染に注意する必要性があります。
現在の医療機関では院内で提供される食事については、食材についている土等は流水でキレイに洗い流し、加熱調理についても長時間加熱することと、食器類の消毒を徹底することで予防されています。
しかし、見舞い客が持ち込んだ食品から感染する可能性も否定出来ないため、入院中の患者さんに果物や加工食品などを見舞い品として持ち込む場合には、医師の許可を得てから行うようにしましょう。またお見舞いの際には手指の消毒を徹底することも重要です。
セレウス菌に対して感受性がある(効果がある)とされているのは、クロラムフェニコール、アミノグリコシド、バンコマイシン、クリンダマイシン、エリスロマイシンなどの抗生剤です。
しかし抗生物質を投与しなくても早めの治療を施せば脱水症状などに対する点滴補水治療や下痢止、制吐剤などの対処療法によっても短期間で軽快することが分かっています。
したがって、余程の重症で無い限り抗生物質を投与することは少ないのが今の治療法の主流となっています。
通常、セレウス菌は人から人への感染はしないとされていますが、土を触った手をよく洗わずに抵抗力の弱った人の食事の給仕などを行った場合は、土壌内に生息しているセレウス菌が接触感染する可能性もありますので、易感染者(抵抗力の弱い高齢者や病気療養中の人)がいる家庭では手洗の徹底をするようにしましょう。
特に農家や園芸が趣味の人は要注意です。免疫の低い易感染者の場合、セレウス菌に感染することで菌血症、心内膜炎、髄膜炎、肺炎を併発することがあるので注意が必要です。
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