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ホーム>気になる健康コラム>宇宙医学で骨粗しょう症予防!
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骨粗しょう症とは、骨量が減少し、骨の構造が劣化してしまい、骨に小さな穴がたくさんできてしまう全身性の病気です。骨に小さな穴が開くことによって、骨の内部がスカスカになってしまうため、骨が脆くなり、骨折しやすくなったり、骨の変形や痛みなどが現れます。
この骨粗しょう症は、40代以降で発症し、男女比が2:8と女性の患者が圧倒的に多いことが特徴です。女性は更年期から閉経にかけて、卵巣で産生されるエストロゲンというホルモンが減少します。エストロゲンは、骨を新しく形成する骨芽細胞を活性化させる作用があるため、エストロゲンが減少する中高年の女性は、骨粗しょう症になりやすいのです。
60代の女性の3人に1人が、70代女性の2人に1人が、骨粗しょう症と言われていて、治療を受けていない人を含めると、患者数は1100万人以上にのぼります。
骨粗しょう症の予防法は、骨を形成するカルシウムや骨の助けるビタミンDを摂取したり、運動習慣をつけて骨密度の低下を防ぐなどがあり、治療法にはカルシウムの吸収を促進する薬やエストロゲンの投与などがありますが、劇的な治療法や予防法は現在のところ確立されていません。
宇宙は、無重力ですよね。無重力状態で生活すると、身体面や健康面でも様々な影響が出てきます。
例えば、身長が1〜2センチ伸びたり、尿量が増え、その分血液量が減ったり、赤血球数が減ったりします。また、筋力を使いませんので、1日で約1%も筋力が低下します。
また、無重力状態では骨粗しょう症も進行するんです。一見、無重力と骨の密度は何の関連性もないように思えますよね。
重力のある地球では、運動をして体を動かすことで、骨の新陳代謝を高めて、骨が新しく生まれ変わる手助けをしています。しかし、無重力状態の宇宙では、骨の新陳代謝が遅くなりますので、骨粗しょう症患者の約10倍のペースで骨密度の低下が進んでしまうのです。
また、無重力では、骨に貯蔵されているカルシウムが血中に放出される量が多くなり、尿から排出されるカルシウムの量が増えるので、骨粗しょう症の進行に拍車をかけています。
このような無重力状態での骨粗しょう症の進行を受けて、骨量低下防止、骨粗しょう症の進行防止のためのプログラムが2009年に行われました。このプログラムは、日本人宇宙飛行士の若田光一さんによって試されています。
その結果、4ヵ月半という長期の宇宙滞在でも、骨量は宇宙出発前とほぼ変わらなかったそうです。
この研究プログラムから、生まれた新薬が「ビスフォスフォネート」です。この薬は、現在実用化されていて、骨が脆くなることを抑制して、骨密度を増やす働きがあり、現時点では、骨粗しょう症治療に最も効果のある薬になっています。
また、このビスフォスフォネートは治療だけでなく、予防での活用も検討されていますし、宇宙で行った骨量低下の運動も地球上での予防に生かすことができるのではないかと言われています。
宇宙医学の発達が、地球上での骨粗しょう症の治療や予防に役立つんですね。
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