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ホーム>気になる健康コラム>MERSの危険性と今後の展望は
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MERSという新しい感染症が、中東とヨーロッパを中心に拡大しています。MERSとは、新型コロナウイルスによる感染症で、中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome)の略称です。
2003年に中国を中心に流行したSARSという感染症を覚えていますか?今回のMERSウイルスは、SARSのウイルスと近縁のものです。
MERSは、2012年9月にサウジアラビアを訪れたカタール人から初めて発見された感染症ですが、2013年6月1日の時点で、サウジアラビア、カタール、ヨルダンなどの中東の国やイギリス、フランス、イタリアなどのヨーロッパ各国の計9カ国で51症例(死亡者30人)が確認されています。この感染は、今後も拡大を続けていくと見られています。
WHOの2013年次の総会では、WHOの事務局長は「現在危惧しているのはMERSのコロナウイルス感染症である」と述べていますし、イギリスの健康保護庁長官は「非常に重度の感染症であり、H5N1鳥インフルエンザの危険度のカテゴリーに入れるべき」と述べています。
MERSの拡大は、世界中で危機感を強めていますが、MERSの何が恐ろしいのでしょうか?
MERSの危険性は、現在のところ死亡率が60%と非常に高いことにあります。6月1日現在、51症例中死亡者は30人にものぼっています。
死亡率が高い理由として、治療に有効なワクチンや治療薬がなく、対症療法しかないということです。
2003年のSARSの死亡率は約10%でしたので、MERSがいかに死亡率が高く、危険な感染症かがわかると思います。
また、MERSはイギリス、フランス、チュニジア、サウジアラビアなどで、家族間感染や院内感染が起こっていて、人から人への感染が確認されています。
今年4月に中国で流行した鳥インフルエンザ(H7N9型)は、疑わしい状況はあったものの、人から人への感染は確認されませんでした。
人から人へ感染するということは、パンデミックが起こり、世界的に流行する可能性があるということです。
動物から人への感染に限定されていれば、流行を防ぐことは可能ですが、人から人へ感染する場合は、大流行を抑えることは難しくなります。
さらに、MERSの潜伏期間が9〜12日間と長いことも、MERSの危険性を高めています。潜伏期間が長いと、空港での水際対策が意味をなさなくなります。
海外旅行から帰ってきて、時間が経っているため、MERSの可能性を考えず、ただの風邪や体調不良と考えて、さらなる感染者を出すことも十分に考えられます。
中東やヨーロッパで拡大しているMERSですが、まだまだ感染経路や感染の威力などの詳細は不明の部分が多く、今後も世界的に拡大していくと見られています。
WHOの関係者が現在最も懸念しているのが、メッカ巡礼です。イスラム教徒のメッカへの巡礼は6月から増え始め、10月には数百万人が訪れると言われています。
イスラム教徒の多い中東でMERSは拡大していますので、メッカ巡礼はパンデミックのきっかけとなるかもしれません。
人から人への感染がある以上、一ヶ所に多くの人が集中するのは、それだけ感染拡大の危険が高まり、その後感染者が世界各国へ戻ると、一気にパンデミックが起こる可能性があるのです。
中東の国でのことだし、イスラム教徒は身近にいないから大丈夫と思っていても、パンデミックが起これば、日本にもMERSが上陸するのは時間の問題でしょうし、日本で感染者が出れば、大流行する可能性は十分にあると言えるでしょう。
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